ダイソー プチ電車シリーズの車両の憂鬱
車両にまつわる改造ネタなど諸々
▼編成関係▼
・駆動車(中間車)の付随車化で中間車増結・長編成化
・編成(先頭車)同士の連結(プラレールで言うところの「連結仕様」)
・C11の先頭側連結化により後進牽引
▼性能・機能・仕様関連▼
・高性能モーターへの交換(登坂性能・牽引力・速度)
・2スピード化
・正逆転(前後進)対応(手動で、プラレールアドバンスのような)
・正逆転(前後進)対応(車体下面スイッチを線路側から手動で、スーパーレールのような)
・正逆転(前後進)対応で、車体の端部または下面にスイッチがあり、自動(勝手に)往復運転
・走行のリモコン化
・ギミックのリモコン化(ライト、サウンド、ドア開閉、連結・開放)
・ライト点灯
・サウンド
・ドア開閉
・連結、開放を間接操作で(ケーディーカプラーのような)
・SLのスモーク発生
・カメラカー
・電池2本化(直列で電圧昇圧して高速化・牽引力増、並列で長時間走行)
・軌間変更(プラレールのレールに対応)
正逆転対応・リモコン化については、未確認だが、株式会社ブレイブ製(発売元:石川玩具株式会社)の「ミスターモーターマン運転じょうずエコ2」「ミスターモーターマン運転じょうずエコ3」「ミスターモーターマンエコ3」に含まれる単3電池互換形状の「m3エンジンエコ」(旧製品)「m3エンジンエコ3」(新製品)が使えるなら簡単にできる。また、ノバルス株式会社(Novars.Inc)製の「MaBeee(マビー)」の「おもちゃのリモコン化」デモンストレーションでは、プチ電車が使われている。一長一短があり、どちらがいいかは使い方次第。
m3エンジン | MaBeee | |
---|---|---|
電池 | 内蔵充電池 | 別(単4) |
操作 | 運転台形コントローラ | スマホやタブレット |
価格 | 4,320円(税込) (コントローラとのセット品、コントローラの電池別、メーカー直販価格) Amazon(アマゾン品番:ASIN B01JZ0RMME) 1,836円(税込、m3エンジンエコ3単品、単2電池アダプター付き、充電器別、メーカー直販価格) 1,620円(税込、旧製品m3エンジンエコ単品、充電器別、メーカー直販価格) |
5,378円(税込、参考価格、本体のみ電池別)メーカー型番:MB-3002WB Amazon(アマゾン品番:ASIN B01EHDTHSG) |
同時走行数 | 電波到達範囲内で最大8台 電波のID1~4番用のコントローラと、ID5~8番用のコントローラを組み合わせた場合 |
アプリひとつあたり最大10台 スマホ・タブレットの数に比例して増やせる |
電波到達距離 | 1.5メートル前後 | 約10メートル Bluetooth4.1 Low Enargy (BLE) |
充電時間 | 40分 | 別売り単4電池による |
走行時間 | 40分(m3エンジンエコ3の場合)、30分(旧製品m3エンジンエコの場合) | 別売り単4電池による |
連続使用 | 充電池内蔵のため、充電待ちをするか、充電済みのm3エンジンを待機させておく | 電池を交換すれば、すぐに連続使用できる |
後進、バック | 可能 | 不明(できないかも?) |
制御 | 加速度(実物と同じ) | 速度 |
その他 | コントローラから効果音の再生が可能 | スマホなどの加速度センサやマイク、電波強度、タイマーによる制御が可能 |
▼走行安定性向上▼
・4軸を2軸化
・先頭に駆動車
・先頭車にウェイト(おもり)搭載
▼種類の多種化▼
・既存車の色変更などのデコレーション
・プラレール(日本マクドナルドの「ハッピーセット」含む)車両の流用
・ペーパークラフト
・粘土で造形
・発泡スチロールやバルサ削りだし
・レジンモールド
・バキュームフォーミング
・3Dプリンタで造形
まず、プラレールとの比較をしてみる。
値はすべて測定値(=設計値+製造時のばらつき+測定誤差)
また、プラレールは車両の種類が多いため、すべての車両がこの値かどうかは解らない。
項目 | プチ電車シリーズ | プラレール | |
---|---|---|---|
駆動輪 | 直径 | 16 | 24 |
厚さ | 3 | 5 | |
中心間隔(トレッド) | 20.5 | 27 | |
内側間隔 | 17 | 22 | |
従輪 | 直径 | 14 | 24(駆動車) 18(付随車) |
厚さ | 2 | 3(駆動車) 2.5(付随車) | |
中心間隔(トレッド) | 21.5 | 24~27(駆動車) 23~27(付随車) | |
内側間隔 | 20 | 20~24 | |
車体下面までの高さ | 駆動輪中央(車輪間) | 3 ※この寸法が小さいために、車輪間隔を広げただけではプラレールのストップレールを通過できない |
7(ストップレール接触部) 5(中心) |
駆動輪外側 | 7 | 9 | |
従輪中央(車輪間) | 4 | 7.5(駆動車) 6(付随車) | |
従輪外側 | 6 | 9(駆動車) 10(付随車) |
●駆動車(中間車)の付随車化の例
方法を考えてみると、
・駆動車の駆動系を無効化
・先頭車または後尾車の台枠を改造して駆動車の車体を載せて、連結器を追加
・駆動車の車体用の台枠「中間付随車台枠」を作る
などがある。
一番多く行われていると思われるのは、駆動車を分解してモーターを外す方法。この方法の問題は、車輪を車軸から抜かなければならず、元に戻しても緩んでしまうこと。
車輪を抜く作業には、正攻法なら「ギアプーラー(ギヤプーラー)」という工具を使うことになる。それでも緩みの問題は避けられない。
そこで、車輪を抜かない方法を考えてみると、つぎのような案がある。
・モーターハウジング(モーターケース)を、電池ボックスもろとも切り取って外してしまう
・台枠の下に穴を開け、車軸のギアを切り取ってしまう
台枠の材質は軟らかいため、下の写真のようにカッターで穴を開けられる。ただ、モーターは残るため、付随車としては無駄に重くなる。

●中間付随車台枠
駆動車の台枠は共通と推測される。そこで、ダイソーから駆動車の車体を取り付けられる(載せられる)付随車台枠(下まわりのみ、車輪は2軸でもOK)「付随車化キット」が商品化されれば、増結・長編成化が容易になる。2個(2両分)で100円とすると、300円で中間車2両を追加できることになる。
とりあえずボール紙で試作する。上枠と下枠。合わせると四角い筒形状になる。

軸受け(車軸の回転部受け)は、ボール紙では抵抗が大きいため、手に入りやすい金属素材である「ゼムクリップ」を曲げて使う。車体を留める爪の受け部にも使う。

駆動車では、改造しなくても連結器を互いの固定軸に噛み合わせて連結できるけれど、台枠を作るとなれば連結器も作らなければならない。
これもゼムクリップで作る。洗濯バサミのように、つまむと開く構造になっている。その連結器の受けは、針金で前後2箇所をまとめて作る。こうすることで、車両を牽引する力は針金が受けて、ボール紙の車体に作用する力を減らす。

組み立てると、こんな感じ。非常に手間が掛かり面倒くさい。これを何両分も作る気にはなれない。作れば費用は安く済むが、100円で売っていたら迷わず買って済ませたい。


●4軸を2軸化の例
まず、4軸のうち、どの2軸を残すかを考える。
駆動車は考えるまでもない。外側の2軸は、軸受け部分がガタガタで、ただの飾りであるため、取り外しても問題ない。
先頭車は、4軸のうち、1番目・4番目、2番目・3番目、1番目・3番目、2番目・4番目を残すというパターンが考えられる。直線ではどれでも関係ないが、カーブで曲がる時に違いが出る。
曲がるとは、車体が鉛直軸まわりに「回転」すること。回転は、レールから車輪に横向きに「力」が作用することで起きる。この時、力が作用する位置が回転中心から遠いほど、つまり「腕の長さ」が長いほうが回転の作用は大きい。
重心から遠いという点では、1番目・4番目の軸を残すことになるが、車体を前に進める力が駆動車から伝わってくるのは連結器になる。そこで、連結器からの距離を踏まえ、1番目・3番目の軸を残すことにする。
車軸を減らす方法として、一番多く行われていると思われるのは、車輪を車軸から抜いてしまう方法。
ここで、車輪と車軸を再利用したい場合に、「ギアプーラー(ギヤプーラー)」を使ったとしても、車輪が破損したり、車輪を元に戻しても緩んでしまう問題がある。
そこで、車輪を車軸から抜かずに、車輪と車軸のセットを温存して取り外してみる。手間は掛かるが、台枠をカッターで切り取って取り外せばいい。温存して取り外した車輪と車軸のセットは、車両の改造の材料に使える。


●先頭に駆動車
先頭車を駆動車にするためには、
- 先頭車の車体を取り付けられるように駆動車の台枠(シャーシ)を改造する。車体は、スイッチレバーを通す穴を開ける
- 駆動車の台枠に取り付けられるように,、先頭車の車体を改造する
- 駆動車の台枠に取り付けられる車体を新しく作る
というような方法が考えられる。
種類の多種化のために車体を作ろうとする場合には、始めから先頭車を駆動車にするように考えればいい。しかし、電池を含めた駆動部分の大きさが車体形状の制約になる。車体を台枠に引っ掛けるための爪の構造も工夫が必要。

●逆転(バック)
駆動車の車輪を逆回転させるには、機械的にギアで行う方法と、モーターを逆回転させる電気的な方法がある。
改造の難易度は、電気的な方法のほうが低い。市販のスイッチ(トグルスイッチやスライドスイッチ)を使うなら、DPDT(双極双投、2極双投、2回路2接点)の中立OFF付き(ON-OFF-ON、3ポジション)のタイプを、モーターの配線部分を切り離して電池との間に接続する。

●2スピード化
駆動車のスピードを変えるには、機械的に減速比(ギア比)を変える方法と、モーターの回転速度を変える電気的な方法がある。
改造の難易度は、電気的な方法のほうが低い。電池とモーターの間に入れた抵抗値を変えたり、直列接続する電池の本数を変えるなどの方法がある。
抵抗値を変える方法では、固定抵抗器を入れておき、市販のスイッチを使うなら、SPDT(単極双投、1極双投、1回路2接点)の中立OFF付き(ON-OFF-ON、3ポジション)のスイッチで短絡させるなどがある。しかし、抵抗で落とすのは残念な感じ。

電池の本数を変える方法では、市販のスイッチを使うなら、SPDT(単極双投、1極双投、1回路2接点)の中立OFF付き(ON-OFF-ON、3ポジション)のスイッチで1本と直列2本を切り替えるなどがある。しかし、電池の減り方に差が出てしまうため、この回路にしてはいけない。

そのため、電池2本を並列と直列で切り替えるようにする。市販のスイッチを使うなら、DPDT(双極双投、2極双投、2回路2接点)の中立OFF付き(ON-OFF-ON、3ポジション)のタイプを使うなどがある。

●デコレーションの例
- 「0系新幹線」の窓を埋めて黄色に塗って「922形ドクターイエローT3編成」に
- 「0系新幹線」を緑にしてスノープラウを付けて「200系」に
- 「681系サンダーバード」を「はくたか、Snow Rabbit Express」に
- 「E231系山手線」を前面の小細工と側面の色帯変更で「中央・総武緩行線」に
- 「E231系山手線」を前面の「お面」貼りと側面の色帯変更で「E233系」に
など。いずれも“モドキ感”がある。
「E231系山手線」をデコった例。E233系は、やっぱり先頭形状の2次曲面化しなければダメ。

「800系つばめ」をデコって「E7/W7系 かがやき」にしようとして挫折した例。

方法は、単純に考えると塗装だが、細いラインはテープを貼るほうが簡単。デザイン用の細いテープも販売されているが、100円グッズに本格的デザイン用品は似合わない。しかも、色数×幅の種類を揃えなくてはならない。そこで、デコ素材も100円グッズで調達してみる。
その前に道具類。
- カッター
- カッティングマット(カッター用下敷き)
- カッター対応の定規
- ピンセット
材料は、
- 折り紙、色紙(色数の多いほうが適当な色を選びやすい)
- 両面テープ
- セロファンテープ
- メタリックカラーのペンまたはメタリックテープ
ダイソーのおりがみ

ダイソーのテープ

など。白は、色紙でなくてもコピー用紙で代用できる。黒は、コピー用紙をペンで黒く塗って代用できる。
手順は、
- 両面テープを、粘着面を上にしてカッティングマットにセロファンテープで仮止めして並べる。
- 色紙を上に乗せる
- はみ出た両面テープを切り取る
- 帯に切り出したり貼る形に合わせて切り抜く
- 車両に貼り付ける
- ヘッドライト部分などに、メタリックカラーで色入れ



のような感じ。
この方法の問題点は、
- カッターを使うため子供には危険
- カッターの切れ味が悪いと縁が汚い
- 両面テープの剥離紙が滑り易いため、切り出す時にズレてしまい、形が崩れる
- 面倒くさい
また、色紙ではなく樹脂のシートのほうが切った縁は綺麗に仕上がる。
デコシール(ステッカー、デカール)セットがあったら、そこそこ売れるかも。
シールは、伸びる素材なら、2次曲面でもシワ無く貼れる。A-one(エーワン)製 「ピッタリ貼れるのびるラベル」のような。
「800系つばめ E7/W7化」用のスカイブルー部のデコパターン例。単位はmm(ミリ)。商品にはバラつきがあるため、個別に微調整が必要。
車体に貼った後で先頭部(タマゴ)に合わせて先端を丸くカットする。
この上に仕上げの金色と黄色の帯を貼る。

●ペーパークラフト車体
ペーパークラフトの車体は、車体の取り付け方法を考えると、
・販売されている車体の上に被せる
・台枠(下まわり)の爪や角穴に合わせて車体を作る
・台枠も含めて作る
などがある。
被せるだけが一番簡単だが、車体形状の制約は一番大きい。台枠も含めて作るのは、一番手間が掛かるが車体形状の自由度は高い。
「販売されている車体の上に被せる」の手抜きの例に、ダイソーの一部の店舗で販売されている「プラレール トレインキャンディ」の外箱を使う方法がある。下回りを切り取り、長さを詰めて、連結部やスイッチを避ける切り欠きを付ければ出来上がり。車種もプチ電車シリーズには無いものばかりの「485系特急 雷鳥」「165系東海型急行電車」「225系新快速」「E233系通勤型電車 京浜東北線」「EF210桃太郎」など。


「販売されている車体の上に被せる」の本格的な例に、岳南電車のオリジナルグッズがある。パンタグラフを再現しているなど、ある意味プチ電車の商品を超えている。

「台枠の爪や角穴に合わせて車体を作る」を考えてみる。鉄道模型の世界では、実物では動力を持たない車両に駆動系を入れたものを、「ユーレイ(幽霊)」と呼ぶ。特に炭水車に動力を入れたものを「テンダードライブ」という。
試しに、C56風テンダーを作ってみると、こんな感じ。C11から水と石炭のタンク取り除く改造をして組み合わせても、バランスが合わない。車体を載せるだけでなく、長さを短くする改造が必要になる。長さを短くするには、電池を別の車両に移す必要があるが、駆動車が軽くなりトラクションが不足して牽引力が低下する問題がある。また、改造できたとしても「No.15 転車台」は、1両しか乗らないため、使えない。

「台枠の爪や角穴に合わせて車体を作る」で、機関車と組み合わせるのは、客車や貨車がよさそう。

■手転がし
改造とは別の話。こどもの年齢によっては、モーターで動かすのではなく、「てころがし」で遊ぶこともある。プラレールは、スイッチをOFFにすれば動力車の駆動系が空転するため、手転がしができる。
プチ電車の駆動車を同じような構造にすると、コストが上がってしまい、プチ電車の最大の特長が失われる。駆動車(中間車)を付随車化改造する方法があるが、3両編成に拘らなけでば、もっと簡単にできる。それは、先頭車と後尾車を直接連結してしまうこと。連結部分をたこ糸で結べば、本体を改造する必要がない。
中間に駆動車があることは、コストを上げずに手転がしを実現できることにもなる。
さらに拘りを捨てれば、プラレールの「テコロジー」シリーズに倣えば、1両だけ、つまり先頭車で済む。
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