タワーのレイアウトは、狭い場所で多くの車両を走らせられるため、レールセット「いっぱい車両を走らせよう!4段タワーレールセット」が発売になるほど人気がある。
そのプラレールタワーにも悩みがある。
- 橋脚が数多く必要。
- レイアウトによっては、編成が数多く必要。
- レイアウトによっては、編成の載せ降ろしに手間がかかる。
- 高く積み上げる場合は、転倒(倒壊)対策が必要。販売店の店頭にあるタワーは、ねじで固定してある場合もある(来店客の安全第一)。
しかし、これといった手立ては無いため諦めるしかない。
そこで、ひとくちに「プラレールタワー」と言っても様々あるので、分類したりしてお茶を濁す。
●構成による分類
- 独立積層型
各階が独立していて、それぞれの階で車両が走る。
- 螺旋型(数学における弦巻線と螺線という螺線ではなく、渦巻(spiral)に対する螺旋(helix)のこと:ウィキペディアより)
坂が含まれていて、登り降りがある。
- 複合型
独立積層型と螺旋型を組み合わせたもの。
複合型の例。屋上側の末端処理(折り返し)では、ジョイントの凹凸を合わせるために1/4直線レールを使用しているが、その下(ニュー坂レールの上)に橋脚を立てられないため、2倍直線レールを下に敷いて支えている。この高さのタワーでは、同時に走行できる編成の数は、4本(周回3本、螺旋登り降り1本)。
●周回プロファイル(上からみたレイアウト形状)による分類
下記は、代表的なもので、
- 円
- 長円(小判型、オーバル:oval)
- 8の字
- Uターンめがね
- ハート
- ねずみ
など、多数ある。
8の字の例

●螺旋型の場合の系統数による分類
螺旋の「重数」という呼び方が正しいかどうか分からないが、ねじでいうところの条数。
螺旋を1周する間に1段進む場合は一重螺旋、ねじを1回転する間に1ピッチ(山-山または谷-谷の間隔)進むのであれば1条ねじ。
これが、二重螺旋・2条ねじ、三重螺旋・3条ねじ…と、増えていく。
この数は、一周の間にどれだけ坂を含めるかによって決まる。
最大は、「半周(半周相当のS字を含む)または直線2本分が周回プロファイルにいくつあるか」と、「系統の交差における干渉」によって決まる。
4系統の例。
そして、同時に走らせられる編成の数は、この系統の末端処理によって決まる。
ひとつの系統の末端をUターンにすると、1系統で登り降りするため、編成の本数=系統数になる。
4系統がそれぞれ末端でUターンする例。同時に走行できる編成の本数は、4本。
2系統を末端でつないでそれぞれを登り降りすると、同時に走行できる編成の本数は、1本減る。
4系統のうち、2系統を末端でつなぎ、他の2系統がそれぞれ末端でUターンする例。同時に走行できる編成の本数は、3本。奥側、屋上側の末端処理の折り返しは、橋脚の不足により省略。
例えば「8の字」の場合、半周が2と半周相当のS字が2あるため、最大4系統になりそうである。
しかし、A系統とC系統、B系統とD系統が交差部で干渉するため、最大2系統になる。
そして、A系統・D系統それぞれが端でUターンするようにすれば、同時に2編成走らせられる。
A系統・D系統の端をつなげれば、2系統がひとふで書きのようになり、同時に走らせられる編成は1本となる。
では、プラレールタワーの例
▼その1▼「プラレール会津さざえ堂タワー」
会津若松にある「会津さざえ堂」は、中が螺旋構造になっていて、登る人と降りる人が出会わない(すれ違わない)。
これは、二重螺旋であり、2系統に登り降りを割り当ててあるということ。
これを、プラレールタワーで実現しようとすると、末端処理が厄介。回転対称(軸対称)で外向きなため、つなげ難い。
そこで、一方の系統を半周ずらしてみると、末端は水平位置と方向が一致して高さが1階分違うだけになる。
これならまだマシ…だけれども、屋上側の末端処理を、橋脚で持ち上げなければならないのが残念。
二重螺旋・2条ねじの2系統の末端を、それぞれUターンにする場合。同時に走行できる編成の本数は、2本。タワー本体と末端処理の折り返しのターンアウトとの間に、直線レールを入れる。
二重螺旋・2条ねじの2系統を末端でつないで、ひとふで書き状にして、2系統をそれぞれを登り降りする場合(写真は、手前の二重螺旋部分を省略)。同時に走行できる編成の本数は1本。タワー本体と末端処理の折り返しの曲線レールは重なっている。
▼その2▼「プラレール二重螺旋ツインタワー」
「会津さざえ堂タワー」では、タワーの隣に、末端処理のための「ほぼタワー」をわざわざ立てる。それならば、いっそのこと、こちらもタワーにしてしまえばいい。
ふたつのタワーは、面対称(鏡像)になる。
左側が写って無いのは、橋脚が足りず立てられなかったため。

別の構成としては、独立積層型と螺旋型との複合型にする。二重螺旋タワーの隣に、2系統個別の折り返しを地上側と屋上に配置し、その中間は独立積層の周回(円)を重ねて挟む。概念図は、こんな感じ。
末端処理の折り返しを、地上・屋上共に反対側に振り分ければ、トリプルタワーにもなる。
地上側の末端処理の折り返しに、車両基地を組み合わせた場合。
▼その3▼「四つ葉のクローバー」
独立積層型と螺旋型の2種類。上から見えるように、高くしなくてもいいタワー。
▼その4▼「プラレール富士山タワー」
変わり種も考えてみる。
中央に螺旋タワーを置き、その周囲に渦巻きタワーを配置する。車両は、渦巻き線を登って行って頂上で螺旋タワーに移り降りてくる。その後に外周まで出てから再び渦巻きを回り始める。
しかし、外周へ抜けていくためには、改造した直交橋脚が必要になる。
それよりも先に、青色の橋脚、白色のレールと橋脚が欲しいところだが。
二重渦巻きにしてみると、こんな感じになるが、交差が多くスッキリしない。
登山を表して螺旋にしたいところだが、独立積層型になる。
富士山の稜線は、指数関数(y=e^x)で近似できるとのこと。しかし、美術作品の「富士図」では、実物より急な傾斜もある。なんだかんだ言っても、橋脚の高さの組み合わせは限られているため、その中で「っぽく」するしかない。
螺旋を諦めて独立させると、間隔を108mmにする必要がないため周回プロファイルも四角にしなくていい。ピラミッドみたいな四角錐ではなくなるけれど、曲線の45度は変えられないため、八角錐のようになる。
これを、試しに1/4だけ組み立ててみると、間隔が狭くて橋脚を立てられない。
▼その5▼「花模様」
頂点を曲線1本で構成した場合。
頂点を曲線2本で構成した場合。
頂点を曲線3本で構成した場合。
頂点を曲線4本で構成した場合は、「四つ葉のクローバー」タイプになる。
頂点を曲線5本で構成した場合。
頂点を曲線6本で構成した場合は、「四つ葉のクローバー」タイプになる。
頂点を曲線7本で構成した場合。
頂点を曲線8本で構成した場合。
▼その6▼「井桁」
小判形(オーバル形)のエンドレスを組み合わせてみる。
重なり部分を分かりやすくするため、ズラして表すと、こんな感じ。
エンドレスの数をもっと多くすると、こんな感じ。