PowerPoint で貼り付けると勝手に中国語フォントになる
パワーポイント2003の頃から伝統的に放置されているバグ。2016にアップグレードしたのに残っていた。マイクロソフトは日本語ユーザーをどれほどバカにしているのか。
あれこれ調べてもいい対策が無かったので、自分で試して見つけた対策を綴っておく。
Windows版の話で、Mac OS版は使っていないので分からない。
■ 現象
書式情報を持たない文字を貼り付け(ペースト)すると、既定のフォントではなく、中国語のフォント「PMingLiU」や「SimSun」に勝手になってしまう。
書式情報を持たない文字とは、メモ帳やExcelの数式バー(上の方にあるセルの内容を入力するボックス)からコピーしたり切り取った文字。
■ 発生条件
漢字のみ6文字以上。ただし、日本特有の漢字を含んでいると発生しない場合がある。
なので、
- 5文字以下では発生しない
- ひらがな、カタカナが含まれていれば発生しない
- 日本語特有の漢字(国、画、湾、化、学など)を含んでいると発生しない場合がある(含んでいても発生する場合がある)
- ExcelのセルやWord からコピーまたは切り取りした文字には、フォントやサイズ、色などの書式情報が付いているので発生しない
- Windowsのコントロールパネルから、中国語フォントを無効にしていても発生する(Windowsに標準で用意してあるシステムフォントは、削除はでず無効にするしか許されない)。
- Officeの設定、ファイルタブ > オプション > 言語 > 編集言語の選択に、中国語が無くても発生する
■ 回避方法 (Microsoft Office PowerPoint 2016 の場合)
- デザインタブに切り替え
- 右のほうにあるバリエーションの右端の下向き▼「その他」を選択
- フォントを選択
- フォントパターンの一覧から、既定のフォントにしたいフォントパターンを選択
- フォント一覧が閉じてしまったら、再度バリエーションの右端の下向き▼からフォント一覧を開く
- フォント一覧のいちばん下にある「フォントのカスタマイズ」を選択
- 開いた設定ダイアログ(小窓のポップアップウィンドウ)の「保存」を選択して閉じる
※設定内容の変更は不要 - フォント一覧が閉じてしまったら、再び、バリエーションの右端の下向き▼からフォント一覧を開く
- 「ユーザー定義」という見出しの下に「ユーザー定義○」(○は数字)というパターン(設定)が作成されているので、それを選択して適用する
■ 回避方法 (2007 の場合)
- デザインタブに切り替え
- 右のほうにあるフォント(テーマのフォント)を選択
- 新しいテーマのフォント パターンの作成(C)を選択
- 保存(S)を選択
- 「ユーザー定義○」(○は数字)という設定が作成されているので、それを選択して適用する
■ その他、注意点など
- フォント一覧の見出し「Office」の下にあるフォント(組み込みフォントパターン)なら全部「勝手に中国語フォント問題」が発生するようだ
- ユーザー定義のフォントパターンを適用して文字を貼り付けて問題なかったとしても、テーマのフォントパターンを「Office」の下にある組み込みフォントパターンに切り替えると、全て中国語フォントに化けて「勝手に中国語フォント問題」が再び発生(ゾンビのように…ではなくキョンシーのように)
- ユーザー定義のフォントパターンを指定したテーマを保存して、「既定のテーマ」に指定できるが、「既定のテーマ」とは新規作成した時に自動的に適用されるテーマという意味ではないので、新規作成するたびにテーマを指定する必要がある
フォント以外にも、画面比率(16:9ワイド)などを使いやすい設定に変更したファイルを作っておき、「名前を付けて保存」したほうが新規作成するよりよさそう。
この解決方法で未確認なのは、学校や会社などでファイルをやり取りした場合にどうなるか。
ファイルの作成者と受け取り者との間で、インストールしてあるフォントの違い、ユーザー定義のフォントパターンの違いがあったらどうなるかは確認できていない。
■ 蛇足
マイクロソフトのサポート情報に下記のような項目がある。
しかし、解決方法というのは、「自動言語検出機能が原因なので無効にする」というもので、「自動言語検出機能」のバグを修正するものではない。
テキストの貼り付けを、「Officeの既定のフォント」「Officeの編集言語」「Windowsの有効なフォント」「Windowsの表示言語」に従えば全く問題ないのに、「自動言語検出機能」が働くと「Officeの既定のフォントではない」「Officeの編集言語ではない」「Windowsの有効なフォントではない」「Windowsの表示言語ではない」言語・フォントになってしまう。
「それが仕様だ、バグではない」という説明にユーザーが納得すると考えているようだ。
PowerPoint 2010の解決方法の内容は、「レジストリ キーを変更」するもので、キーの中に「Office 2010」のバージョンを指す「14.0」がある。それなら、他のバージョンも同様の方法で対応できる可能性がある。
だからといって、憶測でレジストリキーを編集するようなバカな真似はできない。Officeの不具合を解決しようとしたらWindowsに不具合が発生するなんてことになりかねない。
製品名 | バージョン番号 |
---|---|
Office 2003 | 11 |
Office 2007 | 12 |
Office 2010 | 14 (不吉な13は避けられた) |
Office 2013 | 15 |
Office 2016 | 16 |
他に、外字が中国語フォントになってしまうトラブルの解決方法に、中国語フォントファイルの拡張子を変えて、Windowsに認識させなくするという強引な方法もあるが現実的ではない。
Windows Vista 上の 2007 Office プログラムまたは Office 2003 プログラムで外字 (EUDC) が中国語フォント MingLiU_HKSCS の文字に置き換えられる